【名護屋城③】なぜ本丸に直接アクセスできる「裏口」を作ったのか?発掘で判明した秀吉専用ルートの正体

豊臣の陣城

本丸へのアクセスは、三ノ丸から本丸大手口に入るルートと、北側の城下町方面にある「水手口」から本丸北口に入る「水手通路」と呼ばれるルートがあります。「水手通路」は城外からどの曲輪も通らず直接本丸へアクセスできる点が特徴です
また、「水手通路」に沿った石垣には、天守台、本丸北側、遊撃丸など城内でも重要箇所に見られる「割石積み」が使われていることから、特別な通路であったと考えられています。

この水手通路は肥前名護屋城図屏風に描かれています。佐賀県立名護屋城博物館の「水手通路(本丸北裾石垣)の修理」にある図を見比べると、各御門の位置等が一致することがわかります。

肥前名護屋城図屏風(佐賀県立名護屋城博物館)を引用加筆

佐賀県立名護屋城博物館 「水手通路(本丸北裾石垣)の修理」より引用加筆

 

なぜ水手通路が造られたのか

水手通路は城外からどの曲輪も通らず直接本丸へアクセスできる通路です。途中、水手曲輪に沿ったり、折れが続きますが防御施設が薄いことは確かです。
ちなみに、水手曲輪ですが、屏風や縄張り図から高知城の記事でご紹介した武者隠しであることが想定されます。

高知城の武者隠しについてはこちら
【独自究明】高知城追手門にある謎の空間。豊臣大坂城から受け継がれた防衛の共通点

黒田官兵衛が縄張りをした中津城や福岡城、石垣山城にこのように本丸へ直接アクセスできるような通路はないため、Ⅰ期の普請完了時には水手通路はなかったと考えられます。

Ⅰ期普請完了時の外郭ライン(黒線)名護屋城の縄張り(佐賀県教育委員会)に加筆

そのため、水手通路はⅡ期の普請だったと考えられますが、それは同じくⅡ期の山里丸の普請と関係がありそうです。

天正20年11月に秀吉が山里丸に居を移していることが、「大かうさまくんきのうち」に記録されています。
つまり、秀吉は山里丸に住んでおり執務をするために本丸御殿まで通う必要があったため、Ⅰ期の縄張りを改造して水手通路が造られたことが考えらます。

この水手通路について、冒頭で天守台や遊撃丸などに見られる「割石積み」が使われていることを記しましたが、まさに秀吉の通勤や茶会に向けた山里丸への移動などに使われる特別な通路であることを裏付けています。

割石積み」は割石の加工に際して石工が2~3トンの自然石から「矢(クサビ)」を用いた石割技法により数回にわたって石を割り1石ずつ仕上げていく大変な手間がかかる石積みです。
下の画像は本丸から遊撃丸を撮影したものですが、割石積みの石垣が写っています。
水手通路には「割石積み」の石垣が復元されているそうですので、次回名護屋城を訪れる際は撮影して差し替えたいと思います。

 

山里丸

山里丸は上下二つの曲輪より構成されており、それぞれ上山里丸、下山里丸と呼ばれています。
太閤記では山里丸に書院・御座間・大台所・風呂屋・数寄屋・能舞台などの存在が伝えられています。

月見櫓

山里丸の右下には月見櫓が描かれています。天守に設けられる廻縁(まわりえん:一周できる縁側)、高欄(こうらん:廻縁の手すり)が描かれており、月と鯱池を眺めることができる施設だったと思われます。
ちなみに豊臣大坂城にも山里丸付近に月見櫓がありましたが、廻縁と高欄が備えられていたのでしょうか。

茶室

山里丸の発掘調査で茶室跡が発見されました。地面に穴を掘って柱を立てる構造で、畳四畳半ほどの広さでした。周囲には飛石列、石組井戸、玉石敷き、垣根跡などが確認されていますが、具体的な山里丸の内容が分かる貴重な発見です。

佐賀県立名護屋城博物館「山里丸草庵茶室跡」より引用

博多の豪商・神谷宗湛が記した「宗湛日記」には「御座敷四畳半、柱もみな竹なり」との記載があります。

佐賀県立名護屋城博物館「山里丸草庵茶室跡」より引用

 

山里口

山里丸は秀吉が居住した場所です。そのため虎口である山里口は、複数の折れがある食い違い虎口で厳重に防御する造りになっています。


ここまで3回にわたって名護屋城について見てきました。名護屋城は単なる陣城ではなく秀吉が長期滞在するために増築・改変が行われ、大坂城に共通する施設があることもわかりました。
大坂城は地下に埋まっていますが、名護屋城は実際に豊臣の痕跡を見ることができる貴重な場所だと記事を書きながら改めて実感しました。

皆様も是非、『秀吉の城を見ることができる』、そして『イカがおいしい(笑)』名護屋の地をご訪問ください!

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